2026.05.27
俳句で育つ、子どもの感性と「自分の言葉」|「うちの子、おしゃべりが苦手かも…?」〜全4回まとめ〜

五・七・五の17音で表現される俳句。
俳句は「言葉を増やす」のではなく、「感性を澄ませる」学びです。
Instagramで4回に分けてお届けした、ココの杜の俳句のカリキュラムと、ある生徒さんのお話を1つにまとめました。
俳句は「感性を澄ませる」学び
文章を書くときは、表現を広げていく作業。でも、俳句は逆です。感じたことをぎゅっと濃縮し、本当に必要な言葉だけを残していく。
そのために大切なのが「体験」です。
・実際に見る
・触れる
・感じる
五感を通して生み出されたものが言葉になります。
ココの杜では、体験の中で生まれた言葉を大切にすくい上げながら、その子自身の感性を言葉にしていきます。
たくさん感じて、たくさん考えて、自分の中から出てきた言葉は、その子にとっての宝物になります。
立ち止まる時間が、考える力と意欲を育てる
俳句を作るときの立ち止まる時間が、子どもを大きく変えていきます。
子どもは発想力があるから、すぐに言葉が出てくる。そう思われることもありますが、実際は、立ち止まり、悩みながら言葉を探しています。
ひとつの言葉を選ぶために、消して、書いて、また消して。そうしてやっと、その子だけの言葉が生まれます。
この経験は、ただ文章が上手くなるのではなく、自分で考え、自分の言葉で伝える意欲を育てます。
作品として仕上げたときの、「自分の言葉で表現できた」その実感が、子どもたちの自信と次の一歩をつくります。
「うちの子、おしゃべりが苦手かも…?」小学3年生の女の子のお話
「言葉にするのが苦手みたいで」
そう保護者の方からご相談を受けて入塾してくれた、小学3年生の女の子。最初はとても静かで、でも話しかけるとにっこり笑ってくれる子でした。
ある日、「春を探しに行こう」と公園へ。すると彼女が、ぽつり、ぽつりと話し始めたのです。
「先生、たんぽぽの赤ちゃんが風でどんどん広がっていくよ」
そして生まれた俳句がこちら。
わたげかな
たねがあちらへ
こちらへと
彼女は、風に乗って命が広がっていく景色を見つめていたのかもしれません。
さらに彼女は言いました。
「ほら、あんな駐車場の角にも春があるね」
そうして生まれた俳句が、
よすみにも
春はかならず
おとずれる
見過ごされがちな場所に、光を見つける。この圧倒的な感性に、私たちは衝撃を受けました。
子どもは、「うまく話せない」のではなく、自分の感じたことを安心して出せる場所を待っているのかもしれない。そう思った出来事でした。
散ってしまった桜の木を見つめて
今度は彼女は何も言わず、散ってしまった桜の木をじっと見ていました。
そして生まれた俳句が、
はるおわり
さくらひらひら
みどりの木
次の命が始まっていると感じとった俳句です。
そして最後に作った俳句が、
川の上
さくらがひらり
まいおちる
春が花びらとともに流れていく様子が目に浮かびます。
「この子の中に、こんな世界があったんですね」
丁寧に描いた絵とともにお家の方へお見せすると、「この子の中にこんな世界があったんですね」と、とても感激されていました。
それから彼女は、自分の言葉に自信を持ち、たくさんお話してくれるようになりました。
小さな体験ひとつで、子どもは驚くほど変わることがあります。私たちはそんな瞬間に立ち会えることを、とても幸せに思っています。
正解を覚えるのではなく、自分の感じたことを言葉にできる力を育てる。それが、これからの時代に必要な力だと私たちは考えています。

