昔東京の新宿に、それはそれは大きな豪邸に住む女の人がいました。 その人はすごくお金持ちで、高い物は何でも買ってしまうとても欲張りな人でした。 また、家には血統書付きの犬や猫を何匹も飼っていました。 いつも近所の人に自慢話をしたり、相手の持っている物をけなしたりしているので、みんなからうざったいおばさんと思われていました。 ある日の事、このおばさんはいつものように、「これはアメリカから取り寄せた1千万円もする、本物そっくりに作られたネズミの置物なのよ」とみんなに自慢していました。 するとそこに。海の近くで美味しい定食屋さんをしているとてもきれいな若い女の人がやって来ました。 その女の人は、そのネズミの置物を見て、「私の家にはもっと本物そっくりのネズミの置物がありますわよ」 と言いました。 それを聞いておばさんは、「あらそう、それならその置物を持ってらっしゃいな。貧乏なあなたがそんな立派な置物を持っているわけがないじゃないの」 次の日、その女の人は、おばさんの家にネズミの置物を持って行きました。 しかしそれはどう見てもネズミとは思えない、下手な作品でした。 おばさんはバカにしたように笑いながら「あなた、よくそんな物を持って来れたわね」と言いました。 「では、あなたの家にいるそのペルシャ猫がどちらのネズミを選ぶか見てみましょう。猫が選ぶのですから、選ばれた方が間違いなく上手い作品だということですよね」 女の人はそう言って2つの置物を猫の前に置きました。 するとその猫は、なんとネズミとは到底思えない女の人の置物をくわえてどこかに行ってしまいました。 おばさんは口をポカンとあけて、猫が逃げて行くのを黙って見ていました。 それからおばさんは少し反省して、あまり自慢話をしなくなりました。 さて、どうしてこの猫は下手くそな置物を選んだのでしょうか? 実はこの置物は、定食屋さんで使っていた上等なカツオ節で彫られたものだったからです。 おしまい お話の原型は、きっちょむばなし です。 イソップ寓話ほど道徳的ではないし、ちょっとシニカルな所が子供たちに受けるようです。 原作は男性2人のやりとりですが、登場人物の設定から自分たちで考えていきました。 お金持ちの意地悪なおばさんと、若いきれいな女の人という設定になりました。 男子生徒にとって、若く美しい女性がいい人なのは当然の設定です。 夢を壊してはいけません。 次は人物像を膨らませていきます。 具体的にどんな風に意地悪なのか、沢山持っているお金をいつも何に使っているのか、など、想像しながら細かいディテールを決定していきます。 実際にセリフも言ってみたりしながら、イメージを膨らませました。 次は伏線の設定。 カツオ節というアイテムに結びつけるため、女の人を定食屋さんにする。 話を面白くするため、女の人の置物はひどい作品にする、など細かい所まで、話の内容を決めていきます。 さあ、後は作品作りです。 口頭で相談しながら、1番いい言い回しを書き留めていきます。 最後にもっといい表現はないか、添削したら完成。 0からお話を作るのは、大人でも難しい作業です。 手始めにこんな感じで作っていくと、抵抗感なく、楽しんでお話し作りができますよ^_^
公開日:2019年03月25日(月)
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